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お母さん、私はあなたに謝らなければならないことがある。

祖母が亡くなっても、大して悲しくはなかったこと。

最後の別れになるというのに忙しいからと言い訳をして
葬式にも参列しなかったこと。

電話口で、あなたに葬式に参列できないことへの謝罪を涙ながらに語りながらも、本当はちっとも後悔していなかったこと。

あの時、涙がこぼれて申し訳ないと思ったのは祖母が亡くなったと言う知らせにショックを受けたからではない。
他でもないあなたのそばにいてやれない罪悪感からだ。

あなたは強がるでしょう。複雑ながらも最愛の母を失った悲しみを1人で抱え込むのでしょう。

気丈に振る舞いながら、日常を過ごしてふと心に影がさしても誰にも悟らせようとしないのがあなただから。

私は、母であるあなたのそばで寄り添うことさえ放棄してしまったことを謝りたかったのです。
薄情な娘でごめんねと。私は、祖母とあなたが形容し難い関係性であったのが幼いながらも悟っていたから。

そして、私たち孫に対しては明るく優しかった祖母は
老いてみるみるうちに病に侵され私たちを認識できなくなった時点で、もう私の知っていた祖母はすでに死んでしまったのです。
そんな私の胸の内は、あなたに生涯打ち明けることはないでしょう。


「言葉にならないもの」

8/14/2025, 7:45:59 AM