ハイファイ

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『記憶の地図』

自分は忘れっぽい。昨日の自分から今日の自分にメモを残さないといけないぐらいに。
持ち歩く手帳に単語を書き、その単語を記憶の地図にしているのだ。

昨日のメモを見返した。階段下処理の単語だけが目立つインクで書かれていた。基本的にインクの色は統一しているからその単語だけが異様に目を引いた。

階段下は確か収納スペースだ。
確認のため階段下に向かい、収納スペースを開けた。
扉を開けると手足が飛び出し、次いで顔が出た。狭いスペースに押し込められ、関節がおかしな方向に曲がった男性がいた。

脳が叫び喚くが体は自然と動き始め、着々と処理を進めていく。そして思い出した。自分の職が考えたくもない解体業者であったことを。


6/17/2025, 11:00:23 AM