「そういえばさ、いつから俺のこと好きになったの?」
「ふえ!?」
ソファに座って彼女に質問をすると、飛び跳ねるくらいにびっくりしていた。
「え、そんなに驚く?」
「いや、だっていきなり言うんだもん……」
「あ、ごめん。いきなりじゃなくてね」
俺はデジタルフォトフレームを指した。
「帰ってくる前にフォトフレームの写真を見ていたんだけど古いのがあってさ。付き合うかなり前のイベントのやつ。俺、あのイベントに君が居たの知らなかったからビックリしちゃって」
「イベント……?」
彼女は眉間に皺を寄せて思考をめぐらせている。そしてなにかに思いついたようだった。
「あの写真、入ってたんてすか?」
「え、入れたんじゃないの?」
「違います、抜き忘れました!!」
それ、俺に言っていいのかな?
慌てる彼女を横目にそんなことを思った。
彼女はスマホを取り出してデジタルフォトフレームの写真を確認し始める。指でスライドしまくっていた。
横からスマホの画面を覗くと大量の写真が流れている。
凄いな。
まるで俺たちの記憶の海みたいだった。
おわり
三六二、記憶の海
5/13/2025, 1:27:44 PM