「おお勇者よ、死んでしまうとは情けない―――」
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もう何度目の目覚めだろうか
死んでも死んでも蘇らせられて
終わりの見えない旅を続けさせられている
「情けないならもう放おっておいて欲しいよ」
勇者はほとほと疲れていた
「もし、そこの勇者様」
「なんだ」
おざなりに振り返った先には一匹の魔物
本来ならば戦闘開始なのだが、勇者は疲れている
「随分お疲れのご様子
もしよければ我が里へいらっしゃいませんか?」
「里?魔物の里か、そんな場所へ行ったら余計に疲れるだろうが。御免だね」
「おや、お気づきではない?貴方様はとうに魔物となっておられますよ」
「なんだと」
聞き捨てならない一言に詳しく聞けば、繰り返される蘇生によって勇者の魂は穢れ、とっくにアンデッドと変わらぬ形となっているらしい。
「なんてことだ、俺は一体何のために今まで…」
「お気持ちお察しいたします。どうか我らの里にて心身ともに寛いで頂ければ幸いでございます」
気落ちする勇者は魔物の誘いを断る気力がおきず、魔物についていくことにした。
行き着いた先は小さいながらも穏やかで、魔物の里と言われなければわからないほど魅力ある里だった。
魔王討伐を命じられ過ごしてきた日々
挙げ句に魔物堕ちという結末に、勇者はやるせない気持ちを抱きつつも、どこかホッとしている自分がいることに気づく。
「此処では何も気にせず好きなように生活なさってください。ずうっと居て頂いても構いませんので」
魔物たちに歓迎された勇者は、こうして里に留まった。
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「今回も上手く引き込む事が出来ましたね」
「そうだな、あいつで何人目だ?」
「さあて、でもこれで勇者は居なくなったので暫くは我らの自由ですね」
「しかし全く哀れなものだ、次々アンデッドを生み出すあやつこそが魔物なのではないか」
「ええ本当に、怖ろしいですね。しかし仲間を増やしてくださるお方とも言えますから」
こうして、魔物の里は着々と繁栄されていくのであった
『目が覚めると』
7/10/2024, 2:19:40 PM