夏子

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君と見た虹……

ず〜っと目に焼き付いて離れない
虹を見た事がある…

西や東ならば太陽の角度によって
見える事も多いだろう

しかし、その虹は珍しく北に出ていた
それも、真冬のクリスマス・イブの日

私は南から北に向かって歩いていた
まわりには数人の人たち…

黒い衣装に身をまとい、たった今…
私は、父の遺骨をお墓に納めて来た
ばかりだった…

突然の別れから四十九日の旅立ちの
日を迎えて、気持ちの整理もついて
親類縁者たちと談笑しながら歩く道

ふと北の空に目をやると、なんとも
立派な大きな虹が半円を描き目に
飛び込んで来た…

「お父さんらしいね…何とも粋な計らい」
誰とも言わずそんな言葉が出て、皆
笑顔で家路を急いだ…

あの時の虹は、父の人生のラストを
有終の美で飾るべく神様からの
プレゼントに違いないと私は今も
そう信じている…

そして、悔いなく生き抜いた父からの
皆へのメッセージだったかも知れない

2/22/2025, 1:11:25 PM