題 プレゼント
金銀のキラキラな包みのプレゼント、そんなの期待するしかない。
とってもとっても綺麗な包みをクリスマスツリーの下に見つけて、私の心は弾みに弾んでいた。
もう中学生なのにね。
世の中にサンタがいるとかいないとか言う人がいるけど、私にとっては関係ない。
どちらにしても、我が家のこのツリーの下には今日も素敵なプレゼントがちゃんと置かれているんだから。
「お母さん!今年もプレゼントあったよ」
「そう、良かったわね」
わくわくの心で包みを開けると、中学校三年の勉強が一気にわかると言う分厚い参考書だった。
一気にテンションが下がる。
こんな素敵な金銀の包みから全然可愛くないプレゼントが出てきた。
「お母さん、参考書だった〜がっかり!」
私が心底残念そうに言うと、お母さんは複雑そうな顔をして言う。
「サンタさんもユメカに勉強がんばって欲しいのかもよ」
「え〜十分頑張ってるけどなぁ、クリスマス位勉強とは違う楽しい世界観を満喫したかったよ〜」
私がしかめ面で参考書と睨めっこしていると、お母さんが苦笑する。
「せっかくサンタさんから貰ったんだから、3年間大事に使いなさいよ」
「うーん、そうだよね、この参考書結構高いしね、サンタさんが勉強頑張るようにって言ってくれたなら、頑張るかぁ!」
お母さんの言葉に私がちょっとやる気を出すと、お母さんはにっこり微笑む。
「今日はクリスマスのご馳走だから、買い物がてら一緒にお外に出ない?ユメカが欲しいって言ってたコート、お母さんからクリスマスプレゼントで買ってあげる」
「本当?!わーい、あ、この参考書、ちゃんと大事にしまっとこうっと」
私はお母さんからの嬉しい提案に喜んで参考書を手に自分の部屋へと向かう。
お出かけの支度をしようと心もウキウキだ。
ずっしりと重い参考書に目をやる。
サンタさんが誰だとしても、私のことを想ってのプレゼントだもんね。
その心は大事にしたいな。
私は丁寧に本棚にその参考書を片付けると、この先3年間大事に使おうと心に決めたのだった。
12/23/2024, 10:11:36 AM