カレンダー
二段ベッドの上で寝てた頃、枕元に小さなカレンダーを貼っていた。
黒と赤のインクで印刷された、ほとんど半透明の薄い薄い十二枚の紙の束。
下に小さく横書きで〇〇米穀店、住所、電話番号。
楽しみは日付と曜日とその周りに表記された六曜を見ることだった。
数字と曜日と漢字の取り合わせがすごく面白かった。
眠る前、下では姉が大音量でエアロスミスをかけている。
私は目を閉じて、すぐ目の前の手が届きそうな天井をぼんやり見てる。
すると1分くらいでブワッと星空が浮かぶ。エアロスミスはここで退場。
鼓動に合わせるようにして、紺色の、輝く宇宙がどこまでも拡がっていく。
私はその星の一つ一つに名前を付ける。あなたは先勝、あなたは仏滅、大安さんはその隣りね。友引と三りんぼうは今日は一緒に遊ぶの?
名前を呼ばれた星は、まるで選手紹介のアナウンスに手を挙げるみたいに、一つ一つ光って応えてくれる。
今でも「米穀店」という文字を見ると、少しワクワクしてしまうほど、当時の私にとっては楽しい、何となく秘密の遊びだった。
今夜久しぶりにやってみようかな。
米穀店のカレンダーはiPhoneになったけど。
明日は、9、月、13、日、水、大安。あなたの名前は大安ね。
また返事してくれる。きっと。
9/12/2023, 2:21:08 AM