夢路 泡ノ介

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海も、入道雲も、星空も、
誰かと眺めるのは別に良い。
けど、ひとりで遠くを見つめるくらいには、
魅入られても寂しくなんかない。

人では成せない美が広がる世界で、
孤独を抱えずして何を得る。
焼きついたフィルムがどれだけ襤褸けても、
独り占めの褪せない色だけは誰にも譲れない。

孤独を寂しいと思うほうが寂しい。
自分の感覚で、自分だけの世界を構築する。
監督も脚本も自分ひとり。それを演じるのもただひとり。
だからこそ良いではないか。羊のように流されていくより、獲物を追う狼のほうが気高い。

ひとりきりの彩色で描いた世界。
イーゼルに立てかけたその向こう側。
誰が妨げようものか。
呪いあらずとも、その孤独を誰にも穢すことはできない。

【ひとりきり】

9/12/2025, 4:51:11 AM