君の名前を呼んだ日
インターネットの黎明期に、マイナーなオープンチャットルームのホストをしていた。
きっかけはよく覚えていないが、別のチャットルームで仲良くなった二人と、もっといっぱい話したいよね…となって、私が代表して開いたのだと思う。
まったり雑談するだけの部屋にポツポツ常連さんが出来て、三ヶ月くらいするとオフ会しようという話になった。
参加者は男女合わせて二十人程で、学生と社会人と主婦。予約した店で初めて顔を合わせ、順に自己紹介してゆく。
「“しら玉餡こ”です。今日はよろしくお願いします」
実際口に出してみると、ハンドルネームというのはとっても恥ずかしい。
SNSが当たり前の今の人たちならそうでもないのだろうが、当時は皆が同じ気持ちだったらしく、呼ぶ方も呼ばれる方も苦笑い照れ笑いだった。
そのうちの一人とは今でも繋がっていて、世界でたった一人、私を「餡こちゃん」と呼んでくれる。
5/27/2025, 4:03:38 AM