1年間を振り返る。
去年の今頃は、契約社員からの正社員登用で、筆記試験やら面接やらが終わって合否が出た頃だ。
来年からは正社員か。
と実感がわかない。休んだ心持ちがない。
ミカンを食べても甘さが感じられない。みかんジュースを飲んでいるようだ。そんな、慌ただしい年末年始だった。
大学卒業後、
バイト歴が2.0年。
ニート歴が1.5年、
社会復帰に1.5年、
契約社員に2.0年。費やした。
そして正社員登用を経て、今年正社員1年が経過した。
冬季のボーナスで、まともな金額を見ると、誰かの言い方を借りれば努力が報われたような感じがした。
このアプリを始めたのは、2024.7月頃。
当時はお題に飢えていた。
毎日書くことができずにいた。
それはそうだ。社会人とはそういうものだ。
そんな固定観念に惑わされていた。
社会人特有の雰囲気や忙しさを感じて、まとまった時間が取れずにいた。
スキマ時間が隙間風に吹かれると寂しさが増すように、無駄な時間として切り詰められると途端に心のどこかが薄ら寒くなる。熱を持った何かを失うのが怖かった。
小説や文章というものは、数日かけて書くものだ、という固定観念を破壊してくれた。
毎日ひとつお題が提示される。
それって結構助かるものだと思った。
考えて、ネタを出すのが、まず手のかかる。
自分で書くものを見つけようとする。
すると、視界に限られる範囲内だったり、何か考えたあとの思考の断片をかき集めた何かだったりと、既成事実に囚われない事柄を書けない。
書けないと苦しい。どうして? そういう人なのだと思う。
書くタイミングは、いつも会社帰りの通勤電車だった。
おそらくこのアプリを知らなかったときは、いつもの電車に乗り、いつも変わらない夜の車窓を見、色のないモブキャラたちが押し込められた不快な空間のように見えていた。
でも、毎日書くにつれて、この人物たちが実はモブじゃなくて自分と同じような生物なのだ、と輪郭がはっきりした……ような気がした。
当たり前のことが分散されて再構築された。
生きている透明に包まれて、見えないものを見ようとする。そんなことはできないけれど、それでも、今まで信じてきた当たり前が当たり前なのかと疑問符を投げ、裁断し、本質の一部を削った微細な粉のような見えない何かを手に入れたい。
と、心のなかで定義するようになった。
2024/12/31。=令和六年。
あと六時間で今年が終わるけれど、来年もまた何かあるはずだ。それに備えて、この見えない粉のような何かと格闘したい。
見えないけど掴み取った。
この色は多分、金粉や銀粉なのだ。
12/31/2024, 9:41:20 AM