NoName

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 空気という見えないものが酷く恐ろしかったの。空気というものに怯えてたらいつも呼吸をするのが怖くて、恐ろしくて。でも、彼はそんな私を見放さなかった。

「これで、空気の心配はしなくていいだろ?」

宇宙服のようなヘルメットから彼の笑顔が見える、この隔離された様に見える視界に不思議と落ち着いて自分の口角が上がるのが分かった。

 それからは空気というものに怯えなくなった。形ばかりのモノ、それでも落ち着くのはきっと彼から与えられたからこそのモノだからかもしれない。

「イオ、行くぞ」

白色の三つ編みを引き摺りながら前をゆく彼。こうやって余裕を持って見る彼は綺麗だった。

あなたがいたから、知れたのかな

創作 【あなたがいたから】

6/21/2024, 8:37:17 AM