るに

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あんなに強く
行かないでと、願ったのに。
掬った水が
両手からこぼれ落ちるみたいに
大切な人がどんどん離れていく。
泣きながら追いかけて
必死に掬おうとするけど
やっぱり追いつけなくて。
自分だけが一昨日にいるみたいな。
私の涙でしかない水だけが
手のひらに残った。
頬を伝う涙はしょっぱい。
手が涙を包み込むんじゃなくて
涙が手を包み込んだ。
私はやっぱり
人に期待しちゃいけないし、
依存してもいけないんだと思った。
思うだけなら簡単なのに
実行には移せなくて
また願うしかなくなった。
神主さんと巫女さん以外
人がいるところを見たことがない神社。
お賽銭に五円玉を選んで
投げ入れた。
私の大切な人が
私を置いて行きませんように。
手を合わせて強く願った。
"Good Midnight!"
気がつけば過ぎている時間は
私が泣いていた時間。
つまり過去を振り返る
私の無意味で哀れな時間。

11/3/2025, 4:11:27 PM