娘の障害を知った時、絶望と恐怖に戦いた後。
私は彼女と手を取りあって生きて行くのだと意気込んだ。
逃げられない戦いだから。
私が彼女の手をしっかり握って導くのだと心に決めた。
それから数年。
少しずつ、少しずつ、歪みと境界線を彷徨い。
手を取り合ったままではいけないと、気付いた。
……私は先に死ぬのだから。
ずっとこの先も、彼女の手を握り続けて居られない。
手を離せる様に、彼女が自分の足だけで進める様に。
いつかこの手を離せる様に。
少しずつ、少しずつこの手を緩めなくては。
彼女を泣かす事もあるだろう。
手を取りあったそれを、背中に添えるだけに変えて。
時には囁く声だけに替えて。
……進もう。
いつでも手を取り合える距離で。
彼女の笑顔に助けられ、彼女は私の笑顔と声に助けられ。
手を、気持ちを取り合って……進もう。
7/14/2023, 10:45:23 AM