300字小説
ミッドナイト通信
「……今夜もお送りします。ミッドナイト通信……」
土曜日の深夜、机の上のラジオが混線するような音を出すと始まるラジオ番組がある。
『ミッドナイト通信』。内容は、どこぞの猫が子猫を産んだ、どの家の柿が甘く熟れた、軒下に燕が巣を作った等、誰に需要があるのか解らない、町内のささやかなニュースばかりだ。
とはいえ、最近の現実のニュースには疲れ気味の私には調度良い。プチ贅沢な夜食を用意して、飼い猫のミケと毎週聞くのを楽しみにしていた。
「今夜のミッドナイト通信。最初のニュースは中村さんのお家のミケさんが猫又になりました! おめでとうございます!」
「えっ!?」
顔を上げる。
「にゃあ」
ミケが二股に分かれた尻尾を振った。
お題「ミッドナイト」
1/26/2024, 12:51:49 PM