最初から決まっていた
自分自身の人生は自分次第で変えられる。
そんなことを言う人がいるけれども実際はそうじゃない。私もずっと信じてたし、そうだと思っておきたかった。だから料理人になる夢をただ追いかけた。彼は私を応援してくれて、就職祝いに私の欲しかった包丁をプレゼントしてくれた。人生で最高な日だと思った。けど、これが自分次第の結果だというのなら私は一体どうしたら良かったの?
私は今、目の前で最愛の彼と大嫌いだったいじめっ子が同時に亡くなった。最愛の彼は私のことをかばって喧嘩になって、運悪く脱線した車にはねられた。私は救急車も警察も呼べなくて、周りが騒いでいる声すら聞こえなかった。足から崩れ落ち、涙がただひたすらにアスファルトを濡らしている。あいつさえ居なければ彼が死ぬことはなかったはずなのに。最後に見たのは血を流しながら倒れている彼の姿だった。周りに止められるのを振り払い、私は彼からもらった最後のプレゼントを胸に突き立てる。絶対に許さない。さようなら。今から行くから待っててね。さて、これは最初から決まっていた結末を忠実に守った結果だったのか、それとも愛が歪めた結末だったのか。どうか彼女が来世で罪を犯しませんように。
2024/8/7 No.7
8/7/2024, 1:24:48 PM