ロイチ

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「あの夢のつづきを」


将来はオタク同士で同居しようね。
まあ、あるあるなおふざけ約束。

中学で会ってから好きなジャンルは被りつつ推しは被らない、男の趣味が合わないが故に派手な衝突も喧嘩もなく、仲良くオタク友達してた。
で、お決まりの約束。
将来はアパート一棟買ってオタク同士で支えあって老後を過ごそう。
アホだなって思う。当時だって家賃収入とか嫌にリアルな話しながら笑い転げてたし。別にお互い、本気だったんじゃなくて。
ほんと、一緒に暮らせるなんて微塵も思ってないけど、ずっと友達のまま一番の理解者でいようねって、そういう確認だったなって。
あくまでも夢物語。

お互い地元を離れたが最後。
距離は熱だ。
どんなに取り繕っても冷めていくのは仕方ない。お互い様だもん。
だから、最初から約束を守ろうとか守って欲しいとか思ってなかったのに。

「ね、ほら!こことかいいでしょ、駅近駅近!」
「病院へはバス一本、買い出しはこっちのデパート。大丈夫よ、アニメイトはほらここ!ね?私達の最強ハウスよ!」
「お金ならお互いいい歳だもの、たんまりあるでしょ?ここならもう誰にも邪魔されない。ね?」

まさか半世紀経ってあの日の夢のつづきを見せに来るなんて。
いいのね? もう若くないから、夢だって本気で見ちゃうんだから。
「家賃収入はどうするの?」 (了)

1/13/2025, 9:53:51 AM