夢見 月兎

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#香水

 空中にワンプッシュ。部屋に広がる香りを胸一杯吸い込んで顔をしかめる。

「ちょっと違うんだよなあ」

 求めているのは、もっと刺激的でセクシーな香りだ。似ているけど足りない。完成するにはひとつの香りが欠けている。
 身軽になったあの人は別の魅惑的な香りを身に付けて次の人を口説いてるのかな。やっぱり「気に入ってくれたなら、一生これ使うよ」なんて、嘘ばっかり。
 唯一手元に残った香水瓶を揺らすと、半分満たない液体がちゃぷんと踊った。


【瓶詰めされたラストノート】

8/31/2023, 2:44:03 AM