内蔵された電池を消費させようと電源をオンにしたままにする人生にカレンダーほど必要のないものはなかった。いや、正確にはスケジュール帳や日記といった方が良いだろう。
機械化された1日、1週間、1ヶ月、1年。これといって特筆する様な予定も出来事もあるはずがなく、ページを開いたところで自身の空白な心境を目の当たりにするだけであった。
馴染みのペンを片手に日々の喜怒哀楽を表現し綴る楽しさを見出していたのは遠い昔。今とは関係ない、幼少期の習慣だった。どれだけカレンダーを重ねたとて抜けることのない厄介なものだ。
……そう、繰り返すだけの日常にこの習慣ほど必要のないものはない。
これで何度目だろうかと自己嫌悪に陥りながら、とっくに記入期間の過ぎた掌サイズのノートを手に取る。そして数秒後、ガタンと音を立ててゴミ箱が揺れた。
9/12/2024, 5:59:30 AM