晴道花架

Open App

「忘れられない。いつまでも。」

私に嘘を吐いた唇で、誰かのことを褒め称え
私を裏切り突き落とした手で、知らぬ幼子の頭を撫でる
あなたを許すことが出来ない
記憶も心も全て、全て、焚べられたら良かったのに
燃ゆる炎に焼かれるあなたを
劈く声で赦しを乞うあなたを
この胸を腐らせる愛憎ごと、踏み潰せたら良かったのに

零から私を掬い上げた優しい掌
柔らかく紡がれる陽だまりのような声
それが私を絡め取る呪いの糸だと知っていたら
仄かな憧憬も秘めたる恋心も縊る毒だと気付けたら
あなたに応えられただろうか
幻はとうに消え失せて、凍える日差しがこの身を晒す
愚かなり、無垢な幼子は死んでしまった

あなたの側には誰もいない
誰も、誰も、孤独に溺れるあなたの隣に
私の他にはもう誰もいてはならない
見つめ合って、憎み合って、私のことを忘れないで

5/9/2026, 11:35:19 AM