《×月×日、多数の重軽傷者と一名の死亡者〜》
ニュースでは先日の犯罪による被害が報道されていた。
「他に人数が居て、1人だけ死亡、ね……」
きっとその人間は運が悪かったのか、はたまた
亡くなってしまったのは自業自得なのだろう。
テレビを消しながら、そう考えを巡らせる。
「解決しない、分からないは次の機会に」
そう言ってまた何も無い日常へ戻っていく。
数年が経ち、またも騒ぎがあったらしい。
《×月×日、一名のーーの方が大勢の人数を救う為命を落としました。なお〜》
体調が優れない、と自宅に向かっている時だった。
曲を聴く気分でもない、とラジオにしてから間も無く
聞いたのはデパートの屋上遊園地で起きた騒ぎらしく
なんでも大勢の命を救う事と引き換えにしてまで
自身は命を切り捨てたらしい。
「数多の命を救った英雄、ねえ…」
そんな者はいない、否、居ると言えるが難しい。
「この後に、また少し時間が経って少ししたら
死ぬのはあと2人。この2人を見送って終わり。
本人の行動で変わる交通事故。職場の人間から
裏切られた末に、逃げ場を見つけられずに自殺」
死ぬ事は、最初から決まっていた。
いや、この場合は決められている、が正しいのだろう。
「___ごめんなさい。本当はそれを知っていた。
助けられた人達を、見殺しにした。赦されない事を」
あぁ、これも、決まっていたの…?
「むく、い…は、ちゃ、と…うけた、から……」
友人達の〝在るべき未来〟を壊した異分子ー私ーに
「_______________」
罰も罪も私が全部貰って逝くから。
8/7/2023, 9:12:33 PM