ハビコ

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やっと、やっとだ。ついにあの子を手に入れられる。
そう思うと胸がいっぱいになる。
あの子との出会いはいつだったかしら。確か一番初めに出会ったのは、私がまだランドセルを背負っていた頃ではないだろうか。

通学路にあったその店のショーケースには色とりどりのガラスの器が並んでいる。特に夏の日を浴びると棚の上にカラフルな光が反射して、器自体もキラキラと輝いていて、毎日その店の前を通るのが楽しみだった。
母に叱られた時も、友達と言い争った時も、美しい器たちを見ると心が癒された。

中でも私のお気に入りは、茶碗くらいの大きさで、縁が波打っている器だった。
いつだったか、伯母が見せてくれた海外の海の色に似ている。爽やかな透き通る青にエメラルドグリーンと水色が混ざったような色。
誰かが買って行ってしまわないか、店主の気まぐれでしまわれないか心配したものだ。


今日私はあの子を迎えに行った。
先程、店主が「待ってたよ」と微笑んで声をかけてくれた。ショーケースを毎日覗き込む少女を、店主もまた、毎日見かけていたようだった。
薄紙に巻かれ、あの子がぴったり入る小さな木箱に大事にしまわれた。大切にしよう。ずっとずっと、私がおばあちゃんになるまで。
どこに飾ろうかしら、と帰り道も胸が高鳴っていた。



〔胸が高鳴る〕

3/19/2024, 11:18:14 PM