ほむら

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とてつもない失敗をしてしまった私は落ち込んで蹲っていた。他人からしたら些細なことなのかもしれないけれど、自分にとって許すことの出来ないものだった。もう消えてしまいたい、誰にも肯定されたくない…と悪い考えが頭を巡るばかりで、目からとめどなく涙が溢れる。

「おや、どうしたのですか…」

聞き覚えのある声に顔を上げると、心配そうな顔をした彼が目の前に立っていた。私が泣いていることが分かると、彼は頭を撫でようと手を伸ばした。いつもなら嬉しいはずなのに、この時の私はそれに苛立って手を振り払ってしまった。

「何でもないから!放っておいてよ!」

驚いた様子の彼にお構いなく、私は声を荒らげて言った。何も言えなくなっている彼に気づいて私はハッと我に返った。私は何て最低なんだろう、これで彼に嫌われてしまう、と心の中で慌てる。いっそ、一人にして欲しいとまで願った私の意に反して、彼は私の隣に座った。

「無理に話せとは言いません。貴方の方から話したくなったら話してください。俺は貴方の味方ですから」

そう言って彼はただ隣で静かに見守る。なんで、どうして…?こんな私に優しくしないで…。色んな感情が私の心の中に流れ込み、どうしたらいいか分からなくなって再び泣き出してしまう。それを見た彼は私を抱きしめて頭を撫でる。私はそれを拒むことができず、彼の胸元に顔を埋めてただ泣きじゃくる。

「よしよし、泣きたい時は思う存分泣いていいですからね…」
「なんで…何でそんなに優しくしてくれるの?」

優しく接してくれる彼に、私は涙声で問いかける。すると彼は優しく微笑みながら、

「愛しい人に優しくすることに理由なんて要りますか?」

と返した。彼のおかげで少しずつ落ち着きを取り戻してきた私は、失敗して落ち込んでいたことを話すために口を開いた。

テーマ「優しくしないで」

5/2/2024, 11:03:16 AM