その日はとても静かで、月明かりさえなかった。
夜更けの街は家々の明かりさえも少なく、それこそ何も遮るものはなかった。
そんな夜に、わたしは星空を眺めている。
なにか、故があった訳ではない。ただ、ふと見上げた星があまりにも綺麗だったものだから、部屋の明かりを消しベランダに立っていた。
普段は、気付かないものだけれど。星を眺めていると、その一つ一つが瞬きを繰り返している。
それこそが星の煌めきという言葉が生まれた理由なのかもしれないと、わたしはぼんやり考えた。
これが、もし、星の声なら。
彼らは何を、誰に、伝えようとしているのだろう。
何億年前の声は、伝えたい相手を失っていることにさえ気付くことはできないのだろう。
されど星は、死んでもその光を、余波を遺していく。
そうまでしてまで、一体、何を求めているのだろう。
その光さえ消えた時、わたしは何を思えばいいのか。
一筋に流れ星が、わたしの目に飛び込んだ。
きょうのおだい『声が枯れるまで』
10/21/2023, 3:40:51 PM