"夏の匂い"
氷水につけて冷やされているラムネ瓶。
栓をしているビー玉を落とすと、勢いよくあふれ出すシュワシュワした炭酸の泡とラムネの匂い。
瓶を傾けると、カランと鳴るビー玉。
昔、あのビー玉を取り出すことに執念を燃やす人がいたっけ。
こっそり金槌を持ち出して首尾よく割ったはいいものの、硝子の破片で手を切って血だらけになっていた。
どうしようとオロオロしていたから、とりあえず傷口を流水で洗い流して、止血して。
内緒だと涙目で訴えていたけど、当然バレて大目玉を食っていたなぁ。
後日、応急処置のお礼だと、手に入れたビー玉を見せてくれた。
日にかざしたビー玉は確かに綺麗だとは思ったけど、あの情熱は正直分からなかった。
7/1/2025, 11:19:50 PM