30代の母、同居嫁

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光と闇の狭間で

 闇に包まれて眠る。物心付いた頃から、就寝時は部屋を真っ暗にして目を閉じる。
 出産後も、息子が寝た後に電気を全て消し私も息子の隣で眠りについていたのだが、今は常夜灯を朝まで点けている。生後間もない娘をベビーベッドに寝かせていて、授乳のために夜中に私や娘が移動しなければならないためではなく、暗闇をいつの間にか怖がるようになった息子が夜中目を覚ました時に泣かないように灯りを付けている。息子のための常夜灯だ。
 息子が暗闇を怖がる度に思う。なぜ暗いところが怖くなったのか、私も幼い頃は闇を恐れていたのにいつどうやって克服したのだろうかと。
 私は夜の闇の中を歩くのが好きで、実家に住んでいた頃は街灯が無く足元も見えない夜道を星明かりだけで散歩するのが大好きだった。闇が心地良かった。まるで母親のお腹の中にいるようで自分の体重すら闇に隠れてしまい、体がぷかぷか浮かぶような感覚を楽しんでいた。空が晴れている夜は、星の光を自分の目に届けてくれる闇に感謝していた。
 時間が経ち、今の生活は、夕方息子を保育園から連れて帰り、娘を背負いながら夕飯を作り、夕飯後は子どもたちと風呂に入り、台所の片付けをしてすぐ子どもと遊び、寝かせつけて自分も就寝という毎日で、夜の闇を楽しむ時間はこれっぽっちも無い。
 だから私は、今日も常夜灯の光の中で目を閉じて、家の外の闇を想像して眠るのだ。
 

12/2/2022, 11:56:34 AM