ミキミヤ

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あなたとわたしが初めて会ったとき、あなたは10歳、わたしは生後数ヶ月だった。好奇心たっぷりにソワソワと、小さなわたしから目が離せない様子で、あなたはわたしを見ていた。
あなたがわたしを『ムギ』と呼んだ。それがわたしの名前になった。


あなたと毎日行く散歩が、わたしはとにかく楽しみだった。同じ道だけど毎日少しずつ変わっていく景色の中を、あなたと並んで歩くのが大好きだった。1秒でも長く一緒に散歩していたくて、わたしはよくあなたを困らせた。

あなたとわたしは、おうちで一緒にうたた寝したこともあった。わたしのフワフワの毛が、あなたにはすごく心地良いみたいで、すりすりと頬ずりしてくるのが、擽ったくて心地良かった。

あなたとわたしは、公園で一緒に駆け回ったこともあった。あなたが投げたボールを、わたしが取って帰ると、あなたはたくさん撫でて褒めてくれたね。わたしを撫でるあなたの笑顔がキラキラしてて、わたしはそれがとっても嬉しかった。

15歳の頃、あなたは悩んで、よく泣いていたね。わたしはただ寄り添うことしかできなかったけど、それはあなたの力になったかな。なっていたらいいな。


あなたとわたしが出会ってもう13年が経った。あなたは大人になって、わたしはおばあちゃんになった。もうあの頃のように長く散歩したり駆け回ったりすることはできないけれど、あなたは変わらず愛情を注いでくれる。大好きなあなた。あとどれくらい一緒にいられるだろう。
わたしがいなくなっても、あなたの人生はきっと長く続いていく。泣いちゃう日もあるかもしれないけど、どうか笑顔の日がたくさんありますように。



「ムギ、ただいま」

わたしのいる部屋の扉を開けて、あなたが声をかけてくれる。わたしは顔を上げて、声の方を見た。あなたは、優しい笑顔でわたしを見ていた。

11/8/2024, 9:03:37 AM