江戸宮

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生徒が一足先に冬休みを満喫してるであろうが、教員はそうはいかない。
だって生徒と違って大人だし。社会人。労働者。
あぁ、大人ってとってもとっても嫌な響き。
なりたくも無いのに勝手に大人のバッチをつけられちゃうんだから。
出来ることなら、もう一度あの教室の隅で勉強ばかりしていたつまらない学生時代に戻りたい。

あの頃は俺のいた学校でも、やけに手編みの手ぶくろなんかが流行っていた。
もちろん俺が貰ったわけではなく、爆モテな友人が奇妙なほどたくさん持っていたから俺も見たことがあったまで。

あの頃は手編みの手ぶくろに魅力を感じたことなど無かったが、大人になるとどうだ。
ちょっとそのチープな学生ぽさが変に魅力的だ。
それに手作りって所が萌える。
昔から重い所があるのは自覚してるつもりだが、その手編みという所に妙にグッときてしまった。
時間と労力をかけて作ったもの、その人を思って作ったなら尚更愛の結晶のようでいい。
そこまで考えてやっぱりキモイな、と自己解決。

「手編みって……もう高校生じゃあるまいし、」

はは、っと笑い飛ばした後にちょっぴり考えて、あの子と俺が同級生だったらどんなに良かったか、叶いもしないことを本気で密かに願った。


2023.12.27『手ぶくろ』

12/27/2023, 1:42:31 PM