「わ! 綺麗ですね!」
青年が家に持ってきたのは一輪の硝子の花。
きらきらとして、光に反射してとても美しい。
「綺麗だよね。持って帰ってくるの大変だったー」
デパートで見つけた硝子細工。
その色合いが、以前彼女に贈ったネックレスの石に近くて、目を惹いたのだ。
土台のしっかりしたグラスに差して食卓に飾ると、恋人は硝子の花と同じくらい、きらきらした瞳でその花を見つめる。
硝子の花は自分たちが好きな水色の艶やかな花だった。
茎も丁寧で、花弁は細かく繊細に造られていて、変にぶつけたら簡単に壊れそうだった。
「今日だけここに飾って、明日はケースに入れて飾ろう」
「はい!」
そんなことを言いつつも、綺麗な月夜には出して見るのもいいかもしれない。
そうやって、ひとつひとつ彼女との思い出が増えるんだな。
青年はくすりと笑った。
おわり
お題:繊細な花
6/25/2024, 11:24:15 AM