桜四十郎

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「もっと知りたい」
むそオリ|三国パロ|無劉


『今夜、俺の部屋に来てくれないか?』

と、劉備から共寝に誘われたのは数刻前の話だ。
同じ布団の中で夜通し語り合いたいとのことだった。

暗くなった廊下を歩いていく。
足元は中庭の隙間から溢れる月明かりのみが照らしていた。

部屋の前で一度立ち止まり、寝台の方を覗くと、閉められた帳の奥で油灯の橙が淡く揺らめいている。

その光に映し出された、帳の向こうの美しい人影。

正座をした姿で、髻(もとどり)を結ぶ髪飾りに触れている。
暫く紐が揺れると、それがほどけ、背中ほどまである髪の毛がサラサラと下に流れ落ちた。

幻想的な光景に、息を飲む。

「......劉備」

何だか焦らされているような気がして変な気分になってきたので、堪らず帷を捲り上げた。

「え、わっ、無名......!?」

分かってはいたが、驚かせてしまった。

そして、俺も驚いている。
髪を下ろしている姿を初めて目の当たりにしたが......
ここまで妖艶な色気があったとは。

「すまない!こんな身なりのところを......」

劉備は慌ててもう一度結び直そうとする。

「いや、そのままでいい」

紐を持ち上げた劉備の手に、無名の手がそっと触れた。

「......え...?」

その手を、綺麗な灰茶色の髪の方へと移し、手櫛で整えるように撫でていく。

「......とても、綺麗だ。劉備」

寝台の僅かな光でも、劉備の頬が朱色に染まっていくのが分かった。

「.........恥ずかしい...から......やめてくれ......」

目を合わせられないといった素振りで、俯いてしまう。
そうしていると下ろしている前髪も相俟って、普段より数段と幼く見える。

「ね、寝よう!無名。今日は話したいことが山ほどあるんだ」

劉備はわざとらしく距離をとり、布団の中に潜り込んだ。

「......わかった」

無名も同じ布団の中に入り、体温が伝わる距離まで間を詰める。


帷には二人の寄り添う影が映し出された。


3/12/2026, 6:15:43 PM