みみかゆい

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青年は暗闇を歩いていた。

誰よりも…強く、優しく、美しく。

どれどけ理想を追い求めても、その実夢は叶わない。

怒られて、褒められて、また怒られて
無限に続くハードル走のように、
一つ壁を越えたとて、また次の壁が現れる。

我ながらうんざりするような人生ではあるが、
これを繰り返し続けて、
いつかその壁がなくなった時、どんな景色が見えるのか。
とても見晴らしが良いのは確かだろうが、それを少し虚しく感じてしまう自分もいる。

いっそのこと、
さっさと諦めて壁と壁の間で生きていけば随分と楽なのだろう。
しかし、またそうも行かないのが青年の性であった。

不器用でも必死に喰らい付いていくのが、青年の有様である。

2/16/2024, 12:20:48 PM