棺代わりのプラスチックの箱に入れられた犬を見て、ご母堂に言われるがまま、幼い貴女はバイバイ、と手を振りました。
そうして持って行かれたその箱を見送って、貴女は、ラッキーはどこに行くの、と聞きました。
ご母堂は泣き腫らした目を空に向け、ラッキーはお星さまになるの、と言いました。
今も貴女は、人が死んだらどうなるのか、本当にはご存じありません。それは今生きている者のさだめです。生きている間は、そのことをすっかり忘れてしまうものなのです。
けれど、怖がることはありません。その時が来れば、貴女は必ず、穏やかに迎え入れられます。それだけは、分かっておいてほしいのです。
2/1/2025, 12:56:06 PM