小さな命
「皆んなで、飼おう!そしたら
マリーも寂しくないし、皆んなで、
ちょっとずつ餌持ってきたら良いし!」
そうして私たちは、公民館裏の物置の陰で、ノラネコ マリーを皆んなで
飼うことにした。マリーは仔猫ではなく
成猫だったので、私たちが家族に「飼って」と言ってもダメだろうと思ったからだ。
給食の余った牛乳、パン、小パックの鰹節、
今にして思えば、そりゃダメよ、
てな餌だけど、マリーは私たちが行くと、
物置の陰から飛び出してきて、
必死で餌を食べ、私たちにその白い体を
撫でさせた。呼吸で上下する腹。
指で鼻あいさつの時のひやっとした感触。
マリーはこの小さな秘密基地で、
その小さな命を生きていた。
いつまでもこの生活が続くと思っていた。
思いたかった。
しかしある日、当然の如く大人にバレた。
マリーの行方は…薄情なことに記憶に無い。私たちの仲間が引き取ったのか、或いは。
それから半年ほど経った頃、
マリーに似た仔猫を、私たちの仲間が
公民館裏の物置のあたりで見かけた、という風の噂を付け加えておこう。
2/24/2024, 3:29:38 PM