小5

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『 はなよめさん!』


小さい頃、私はよく幼なじみと花嫁ごっこをしていた。
私がカーテンに身を包んで、



『へへー!みてみてなつちゃん!』

「わー!かわいー!はなよめさんだね!」

『そうでしょー?』

「うん!もちろん!!」

『じゃあ、私となつちゃんでけっこんしようね!』

「!しようしよう!!」

『ちゃんと、けっこんしきあげようね!』

「あげよー!!」



幼なじみは女の子で、
物腰柔らかく一緒にいて楽しい子だった。
そして、なつという名前を持っていた。





それが、幼なじみという関係が、
高校生にもなれば恋人という関係になっていた。










毎日が幸せで、楽しくて、
その子と一緒に行ったところは
どこも思い出に溢れていて、、



それが壊された。


大学生になった頃、デートへ行こうと誘われた。
待ち合わせ場所で起きたことだった。

信号を渡る時に、信号無視の車に跳ねられた。
この目で見てしまった。


最愛の人が、ぐちゃぐちゃになる様を。










そんなこともあったな、
とふたりで住んでいた部屋にたたずむ。

もう少しでこの部屋からも引っ越す。
このマンション自体を解体するそうだ。




ふいに、窓からそよかぜが流れた。



窓際へ行って、カーテンを纏ってみた。

何も起こるはずがなかった。
それもそうだな、と思ってカーテンから離れたとき、




わー!かわいー!はなよめさんだね!




と、そんな声が聞こえた。






なつちゃん、私、忘れてないよ、。
なつちゃんとの婚約。

忘れてないから
だから、私がなつちゃんの分まで生きたら、
そしたら、







ちゃんとけっこんしきあげよう、ね

10/12/2024, 3:52:56 AM