夏の魔法使い

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『ハラン姫』

 ある国の王様とお妃様の間に一人の女の子が生まれました。お祝いをすることになり、お祝い用の金の皿が十二枚だったので十二人の魔女を呼びました。そして、赤ちゃんに贈り物をしました。一人目の魔女は優しい心を、二人目の魔女は美しさを、贈りました。十一番目の魔女が贈り物を終えた時、呼ばれなかった十三番目の魔女がやってきました。そして、「この娘が十六のとき、つむに刺されて死ぬ。」そう言い、部屋を出ていきました。慌てて十二番目の魔女がその呪いを解こうとしましたが、完全に呪いを消すことはできませんでした。そしてこう言いました。「この娘が死ぬことはありません。しかし、百年間の長い長い夢を見ます。その夢の悪を娘が倒さなければ、娘は化け物に変わります。」王様とお妃様は酷いショックを受けたようでした。

〜私は今日、十六歳になる。わくわくして、居ても立ってもいられない。お城の中を探検していた。1番端っこの部屋を開けると、おばあさんが糸を紡いでいた。おばあさんに「これはなあに」と聞くと、「これはつむだよ。」と教えてもらった。つむに手を伸ばした瞬間、指につむが刺さり、私は眠りについた。パパもママもお手伝いさんも犬も鳩も。城は茨に包まれた。

ここはどこたろう?何だか不思議な場所だ。すると聞いたことあるようなないような声が聞こえた。「これからあなたには人生の勉強をしてもらいます。あなたが成長したら、元の世界に帰ることができます。ただし、あなたが目が覚めるまでに戻らなければ、化け物になってしまうので気をつけること。」目の前が強い光に包まれた。目を開けるとそこは、お洒落な雰囲気のお店だった。変わったことに、知らない世界なのに私はこの世界に馴染んでいて、自然と体や動いたり、言葉が出てきたりした。ある日、お店の席が隣になった男の人と仲が良くなった。カイって名前らしい。次第にどんなことも話すようになって、私たちは付き合った。カイはおじいさんの看病に付きっきりでなかなか会えない。それに薬代が高いから生活に困っていた。私はそんなカイのためにお金を渡していた。そんな生活が1年続いた。街に行って買い物をしていたとき、私は絶望した。カイが女の人と腕を組んで歩いていた。どうしよう。私は気が弱いから強く言えない。落ち着くために、最初のお店に入る。隅の席で泣いていたら、男の人が話しかけてきた。「何があったのですか。」私は、誰でもいいから話を聞いてもらいたくて、つい、その人に今あったことを話した。「なるほど。辛かったですよね。 でも、そこはあなたが成長しないと。ガツンと言ってやりましょう!」私は、ハッとした。そうだ、強く成長しないと。私はカイに別れを告げることにした。「あなたが浮気していることはわかってます!別れましょう!」そう言い水をぶっかける。席を立ち、店を出る。中からは、周りにいた、お節介なおばさんに罵られてした。そして噂は巡り巡って浮気相手の元に。捨てられたらしい。
後日、あの男性に感謝の気持ちを伝えに行った。男性は、「あなたは純粋で心が優しい。ただ、この世界には悪い人だっている。たまには疑ってみたり、強気になったりしていいのですよ。」その瞬間、眩しい光で目の前が見えなくなった。目を開けると、ベッドの上だった。元の世界に戻れたらしい。パパとママも起きたようで、化け物なってない!と泣いて喜んでいた。私は、前より行動的になって、自分の意見を言えるようになった。そして、街にあるお店で素敵な人と出会った。夢の中の男性とそっくりだった。

〜ある国は突然茨に包まれた。百年が経った頃、茨は消え去った。そして、新たな女王が誕生した。その女王は強くも優しい心を持っており、この国を大変栄えさた。そしていつまでもいつまでもパートナーと幸せに暮らしたそうだ。

8/4/2024, 4:00:29 AM