それは羽ばたかないと思われていた。
羽根が傷ついているわけじゃないのに、弱かったから。
けれど、それは力を蓄えていただけだった。
長い長い間、ずっとずっと。果てのない時間を。
羽ばたけない鳥として、揶揄われながらも。
だがしかし、揶揄われる時間は終わりを告げる。
彼らがいつもと同じように揶揄おうとしていた時、その時はやって来た。
飛べない翼を持つはずの鳥。その鳥が羽ばたき、見下ろすようにチラリと見て、飛び去っていったのだ。
そして、揶揄っていた者たちは衝撃を受ける。
飛べない翼を持つ鳥がいなくなったことで、責任を追及された。何度も何度も幾度となく。
まるで、揶揄っていた鳥がいなくなることで、仕返ししているかのように。
否定しても否定しても、追及の手は止まない。幾度となく責め立て続けられる。そして、彼らはすっかり変わってしまった。
一方その頃、飛べないと思われていた鳥は自由に翼を羽ばたかせて大空を飛んでいた。
風の噂程度だが、揶揄っていた者たちはノイローゼになってしまい、力を失ってしまったようだ。因果応報である。
倒れてしまった者と、倒れなかった者。揶揄っていた者と飛び去った者。
全てを受け入れる大空の下、飛べない翼を持っていた鳥は羽ばたいていくーー。
11/11/2024, 11:44:51 AM