猫頭魚子

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思い出したいけれど、思い出せないことがある。

私には姉がいて、小さい頃から仲が良かった。姉はあたたかい陽気の日には庭にある木の下で私に本を読んでくれた。綺麗な長い髪がキラキラと光を反射しながら揺れて、穏やかに微笑むその姿に、幼い私は憧れていた。けれど、大人になってわかる。姉は、幼稚だった。大人になってからの私はそんな暇もなく、せかせかと日々をすごしている。あのころ、憧れに思っていた姉の穏やかさは、家族の裕福さに甘えていた証で、今はといえば不景気の中でそんな思い出も遠くに行ってしまった。姉が嫌いなわけではなく、むしろ、そんな不景気の中でも変わらず穏やかに過ごす姉の姿を見ていると、私はあの頃を思い出せるのだ。

ただ、本当に思い出したいことは思い出せない。





あの日、姉の膝で寝てしまった私が見た、不思議な夢。





【懐かしく思うこと】

10/30/2024, 11:33:48 AM