愛する、それ故にケンカすることは、殴り愛。
愛する、それ故に狩ってしまうのは、殺し愛。
騙し愛、イジり愛、叩き愛に潰し愛、
なかなか「それ故に」が付くと、重い愛しか思いつかなくなる気がする物書きです。
今日はそんな愛の中から、
「食べちゃいたいくらい愛してる」、
キュートアグレッションから始まるおはなしを、ふたつほど、ご紹介しようと思います。
まずひとつ目は、どこの世界とも、どこかの宇宙とも、何とも知れずともかく「どこか」。
滅びそうな世界をモグモグごっくん!本能に従って食べてしまう獣がおりました。
獣はモフモフドラゴンのようであり、モフモフネコのようでもあり、言葉を話しました。
『おーほほ、久しぶりに美味そうなの、めっけ!』
モフモフネコドラゴンの獣は、いわば世界のサイクルのひとつであり、世界を愛しておりました。
なによりよく育って、よく繁栄して、魂に満ちた世界は、とっても美味しいのでした。
魂に満ちた世界が滅びそうなら、その世界を愛でて、慈しんで、最後のときにモグモグごっくん。
モフゴン(仮)に食われた世界は、ネコゴン( )の毛づくろいによって毛玉、ゲホゲホ!……美しい輝きを放つエネルギーの宝石となって、
そして、新しい世界に生まれ変わるのでした。
世界を愛する、それ故に、モフネコゴンは、愛しい世界をペロリンチョするのでした。
ふたつ目は、そんな「食べちゃいたい(事実)」を地で行くモフモフ世界イーターの供述を聞いた、別のドラゴンのおはなし。
「愛おしくて愛おしくて、だから食うのだ」というモフモフネコゴンの証言を聞いて、
その心理状態と現象を大事な大事な部下の人間から、「キュートアグレッションというのだ」と聞いたドラゴンです。
『愛する、それ故に、食うのか?』
どういう心理状態だそれ?
食えば消えてしまうのに、何故食うのだ?
部下の人間の説明は、分かりやすいものでしたが、ドラゴンはモフゴンの気持ちが分かりません!
非常に不可解極まりないのでした。
「中にはそういう者も居る、というハナシです」
人間が言いました。
人間はドラゴンから言い渡された仕事が残っておったので、カフェインレスコーヒーを1杯、2杯。
デスクに向かって、仕事に戻りました。
『食うのか』
ドラゴンは人間の背中を見て、口を開けました。
『愛する、それ故に、食うのか……』
やはりドラゴンには、「食べちゃいたい」を実行に移す心が、分かりませんでした。
食ったら、消えてしまうのです。
食ったら、もう会えないのです。
それでもモフモフネコドラゴンは、食うそうです。
『真似事なら、しても大丈夫か』
愛ゆえに、あいゆえに。
ドラゴンは人間を牙で傷つけないように、十分な注意を払って、十数秒だけ、ぱこん!
口の中に愛する部下の顔から肩m
「コラ部長なにするんですか危ないでしょう!!」
『あっ、』
「出しなさい!!ステイ!!反省!!」
『あ……』
「あーあー、ヨダレでべちゃべちゃです。
制服洗濯とシャワー行ってくるので、部長、代わりにこの案件終わらせてください!良いですね!」
『う、わ、わかった……』
愛する、それ故にパックンチョれろれろされた人間と、しょんぼりドラゴンは、
それはそれは可愛らしい光景で、絵になりました。
実はそんな人間とドラゴン、別の世界ではゲームキャラクターとして人気でして、二次創作も多数。
主に掛け算文学として、熱烈に愛されており、
となるとイチバンの争いの種は「どちらが左」「どちらが右」、「反転は許容するか」でした。
ドラゴンと人間の交流を愛する、それ故に、「どのような関係の1人と1匹を愛するか」で以下略。
愛する、それ故に、争いが起こる。
これに関しては語ると長いので、今回はこのへんで、おしまい、おしまい。
10/9/2025, 9:38:26 AM