"凍てつく鏡"
とある森の奥底で彷徨っていた。
深く深い森の中、冷たい空気が立ち込めている
浅く雪が積もっており、ちらほらと草が顔を出している
体を包むコートに身を潜めて、先へと進む。
歩いていると、少し先に開いた場所があるのが目に入る
そこには木も草もなく、ただ雪があるばかりだった。
不思議に思って近づくと、突然に視界が空を向いた。
雪と草が交わった地面に頭を打ち付けて、少ししてから滑ってしまったのだと気付く。
立ち上がってコートについた雪を払う
不思議に思ったので、またしゃがみ込んで手をいっぱいに広げて滑った部分をなぞってみると、氷だった。
湖が凍ったものらしい。ガラスのように澄んで透明で、奥底に泳いでいる魚影が見える。
石の凹凸や枝が落ちている様子まで鮮明だ
とても美しいものを見た。
と自分でもわかるほど目を輝かせてそれを見つめる。
満足したらば立ち上がって、その湖の上を歩いてみた。
サクサクと薄雪が割れる心地の良い音が足元から伝わってくる。
やっと湖の中央まで進んだあたりでそんないい音の中にパキッと嫌な音が混ざった。
気付いた時にはもう遅く、氷が割れて私は湖の中に引っ張り込まれる
冷たい。そう思うことだけで精一杯だった。
自然に上を見上げる体勢になる
先ほどまで歩いていたガラスに私の呆けた顔が写っている。
愚かな自分を侮蔑して、割れた氷と共に沈んでいった。
12/27/2025, 3:56:44 PM