/流れ星に願いを
「「あ、」」と声が重なった。
真っ黒い空に星が流れた。
互いに声が重なったことに驚いて顔を見合せ、それから気まづくて視線を逸らした。
流れ星なんて、こんな都会で見られるものだなんて思ってもいなかった。だから、思わず声に出てしまったそれが、彼と同じだったなんて思うと、少し気恥しい。
星に願いを、だなんて僕らには許されないような事だけど、もしも願っても良いなら——。
「星に願うなら、やっぱ前向きな事だよな?」
僕の思考を読み取ったように彼が言う。彼はたまに、こうして確信を突くようなことを言うから苦手だ。
「何さ。僕にとってはどれも前向きだよ? 願いなんだから」
「死にたいっつーのは前向きじゃねぇんだよ」
「決めつけないでよ」
「違うのか?」
何も答えなかった。
答えられなかった。
けど、それ以外でもし願うなら。
生きるなら、君のいる世界がいい。
君がいないと、退屈できっと死んでしまうから。
4/25/2023, 10:49:06 PM