きらの。

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君と出逢って

僕が君と出会った時にはもう遅かった。既に君は死んでいて幽霊として僕の部屋に住み着いていたのだから。
同級生にはいじめられ、親からも見捨てらてた僕にとっては生きている人間より君の方がすごく美しく見えた。さらさらとした黒髪に真っ黒な垂れ目。
そんな彼女の姿に僕は徐々に惹かれていった。そんな僕の気持ちに君も気づいたのだろう。お互いが意識し始めながらも僕たちの間には分厚い壁があった。
決して触れることはできない。彼女は言葉を発しないので喋れるのかは分からないが僕は君に毎日プロポーズをした。
彼女はその度に僕から視線を外した。それはまさにNOという意味だった。
けど、ある日彼女にいつものようにプロポーズすると、彼女はゆっくりと小さく頷いた。と、同時に彼女は徐々に消えていった。成仏したのだ。
僕はその状況を上手く呑み込めず、ただ泣きながら見つめることしか出来なかった。
彼女は最後に微笑みながら言った。
「まだまだ長生きしてね。ずっと待ってるから大丈夫だよ。」

5/5/2024, 12:37:08 PM