こんな夢を見た。子供部屋に私は座り込んでいる。周りを見回すと、懐かしい自分の部屋だ。立ち上がり、キャスター付きの学習椅子に座る。くるくる回るから、よく座って限界まで回り続けて気持ち悪くなったっけ。学習机の方にくるりと向き直る。机の上には、自分が工作で作ったペン立てとスクールバッグが置いてあった。ペン立てを持ち上げ、自分のセンスの無さに笑う。
「毒ガエルみたいな配色だなあ」
ペンやら鉛筆は入っているので、それなりに気に入って使ってたらしい。スクールバッグは、卒業式の日帰ってきて机に投げ出したままのものだろう。中身を見ると、卒業証書の入った筒とアルバム、通信簿が入ったままだ。せめて、夢の中では片付けよう。中身を取り出し、スクールバッグを机の横に提げた。アルバムと通信簿を流し読みながら、部屋の中を見回す。本棚には図鑑や児童文学、キャラもののシールがベタベタ貼られたクローゼット。それにぬいぐるみが枕元に置かれたベッド。
「本当に懐かしいなあ」
衝動的にベッドに飛び込み、顔を埋めた。懐かしい匂いに深呼吸をし、仰向けになる。
「…帰りたいなあ」
しばらく帰省してなかったので、自分の部屋がどうなってるか分からない。だけど、こんな夢を見たら帰りたい気持ちが大きくなってしまう。
「この部屋、変わってないと良いな…」
ベッドのぬいぐるみをいじりながら呟く。ふと、宝箱のことを思い出した。宝箱と言っても、平たい銀色の缶に私の大切なものを入れただけ。大切にしまっておいたが、どこに置いただろうか。夢の中と言っても、ほぼ私の部屋だ。きっとどこかにあるはず。ベッドから降り、宝箱を探し始めた。机の引き出しをひっくり返し、本棚を確認する。
「無い…」
ベッドの下を腹ばいになって確認し、クローゼットを開け服をどかした。
「ここにも無い…」
あとはスクールバッグぐらいしかないが、あの中はもう確認している。
「でも、他に当てなんか無いし…」
一応確認すると、ペタンコになったスクールバッグの中から銀色に光る何かが見えた。
「あった!」
私は銀色に光るそれを引っ張り出した。銀色に光る平たい缶、間違いなく私の宝箱だ。
「さて、中身は何だったかな…」
ドキドキしながら、フタを開ける。カポッと音がして、ヒュウウウと吸い込む音と共に私の部屋は吸い込まれていった。そして、何も無い空間と私だけが残された。そういうことか。
4/3/2026, 9:34:53 AM