3 寂しさ
14……15……16……。
ああ、満たされない。
89……92……98……。
まだ、満たされない。
129……150……176……。
223……348……388……。
人はなぜ、寂しさを感じるのだろう?
このよくわからない、寂しさはどこからやってきたのだろう。
どうしたら満たされるのだろうか?
ジュッ……と音が立つと同時に、肉が焼けるような、だが、それは、牛肉や豚肉などが焼けるときの食欲をそそるような香ばしいにおいではなく、不快なにおいが部屋に充満した。
「んー、398回目だけど、全然満たされないね?」
ごつごつした細い指は、紫色の紫煙の煙草をくゆらす。葉を細かく挽き紙で巻いたそれを、薄く形の良い唇が吸う。
「そんなに怯えないで。そんな顔されたら、俺も辛くなっちゃうじゃない?」
にこにこ微笑む男は、煙草を押しつけられて焼けた者の傷を、そっと撫でた。
「痛かった? ごめんね?」
心配そうに声をかける男は「んー」と、細く長い指をあごにあて、
「やっぱり、お口も焼いちゃったから満たされないのかな? 声、必要だったかも」
そう言い、残念そうに肩を落とす男だったが。
なにか閃いたようにぱっと顔をあげた。
「もしかしたら、俺の存在を必要とする人が現れたら、このモヤモヤした寂しさから解放されるのかも」
穏やかに微笑む彼はまるで天使のようだった――。
12/19/2024, 1:31:35 PM