小さな村に四兄弟がいた。
ある日彼らの前に、村で一番美しい女が来てこう言った。
「今から一週間後、この中の誰かがあの太陽を私にくれたなら、私はその者と結婚しましょう」
その言葉を聞いた男たちは太陽を手にするべく、それぞれ行動を取った。
長男は「太陽は海に沈むのだから、海中を探せばいい」と言って、船に乗って海原へと旅立った。
次男は「地平線の彼方に太陽が落ちるのを見た。ならば、地平線の向こうへ追いかければいい」と言って、徒で大陸を渡る旅に出た。
三男は「太陽は東から昇り、西に沈むと教わった。その周回軌道上に網張れば、漁をするように捕まるのではなかろうか」と言って、巨大な網を担いで高い場所を目指し、村を出た。
四男は「あげるなら、とびっきり美しいものを」と言って、幾つかの道具を持って丘に出かけた。
それから一週間後、四兄弟それぞれ何かを手に、村へ帰って来た。
長男は言う。
「これはマンボウといって、海の太陽魚と呼ばれる魚にございます」
次男は言う。
「これはヒマワリといって、見た目の通り太陽にそっくりな花にございます」
三男は言う。
「これはタイヨウチョウ科の鳥で、名前に太陽とあるのだから、きっと太陽の鳥にございます」
四男は言う。
「これはあなたのために描いた、世界でたった一つの絵であり、たった一つの太陽にございます」
四つの品を見てから、女は「あなたが一番素敵ね」と言って、四男を選んだ。
1/20/2024, 7:04:39 PM