エルルカ

Open App

【お題:寂しさ】

 魔法には属性が存在する。一重に魔法使いと言えど、扱えない属性の方が多く、能力者と魔法使いを区別するのは難しい。
 そんな中、無属性と言われる、ありとあらゆる属性を扱える者も存在するが、そうなると魔力量が少ない傾向がある。

 魔力量とは、魔法に使うエネルギー量を指し、ユークドシティでは、魔力量が少ないと迫害の対象となる。
 私……ミユもまた、その一人。

 私が産まれたクラッセ家は、ユードクシティでは雷属性として知られた名家で、魔力量も多い。
 だからこそ、魔力量の少ない私は家族から疎まれた。

 学校へ行っても同じで、私には居場所がなかった。
 ただ一言、寂しい、辛いと言えたらどれだけ楽なのだろうと、考えたことがないわけではない。言えるわけもないのだが。

 そうした日常も過ぎ去り、高校まで卒業した時。家に一通の手紙が来た。
 差出人は、研究者地区中央からだ。
 研究者地区というのは、その名の通り、研究者が集まる場所で、自然と研究施設が建てられた土地だ。
 現在は、東西南北と中央、五つの大きな研究所に集約されている。

 ユークドシティとは違い、法はあってないような場所だが、不思議と殺人は少ない。その理由を私は知らないけれど。
 一体何の手紙だろうと開封すると、内容は無属性の魔法使いに、実験の協力を要請しているとのことだった。

 どんな実験なのか明記はされていない。来て欲しい日付のみの、怪しい手紙。
 それでも、私は行くことに決めた。

 どうせ今のままでも、生きた心地ではないのだ。ならば、どうなろうと構わないと。
 自暴自棄だった。寂しさを紛らわせる理由が欲しかった。

 手紙を貰ってから数日後、私は研究者地区へ向かって旅立った。
 それが、新たな物語の始まりだなんて、私は思いもしなかった。

ーあとがきー

 今回のお題は寂しさ。
 寂しさ、寂しさ…うーんって悩んで、此度の語り部はミユちゃんです。
 この世界における魔法使いと魔力について少し触れました。私が作る世界の魔法の法則は、全て均一なのですが、魔力は生命エネルギーです。
 だからって少ないからすぐ死ぬってわけでもないですけれど、生きるために使うエネルギーが有り余ってると、魔力量が増え、余っていないと魔力量が減る、そんな感じです。
 無属性の魔力量が少ないのは、メタい話チート対策であったり……。
 研究者地区も出てきました。キャラが濃い変人が自然と集まった場所です。なぜ殺人が少ないのか、とか、今後出せれたらいいなぁ…
 さて、今日のあとがきはここまで。
 それでは、また、どこかで。
エルルカ

12/19/2024, 6:14:24 PM