霜月 朔(創作)

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静寂に包まれた部屋



独り、書類に向かい合います。

窓の外は、夜の闇を纏い、
半月は、西の空へと傾き、
星々が煌めいています。

私の目の前には、
山程の領収証と帳簿。
見たくない赤い数字。
深夜になっても、
終わらない書類の山。

皆が寝静まる深夜。
襲い来る疲労感。
耐え難い眠気。
思わず、溜息が溢れます。

空に瞬く星の様な、
貴方の美しい瞳を。
初夏の木漏れ日の様な、
貴方の明るい微笑みを。
護る事が出来るのなら。

どんな辛い事も、
私は、耐える事が、
出来るのです。

夜の静寂に包まれた部屋に、
私の声が、小さく響きます。

普段は決して、
言の葉に乗せてはならない、
そんな想いを。
今だけは、口にする事を、
許して下さい。

貴方を…愛しています。

9/29/2024, 5:56:51 PM