「あの人、禿げてるし担当してもらいたくない」
40代半ばの女性上司は言った。
「禿げている事は関係ないのでは?」
つい余計なことを私は言ってしまう。
「私ルッキズムだから。見た目至上主義なの」
上司はルッキズムという言葉を、鼻高々に言った。
「…そうですか。そういう考えもありますね」
諦観と言葉を同時に飲み込む。
上司は確かに美容にとても力とお金をかけており、その労力は賞賛するものがある。「綺麗でいたい」と思うことは素晴らしいと私も思う。
けれど、それが本人の力ではどうしようもない部分で、その人を判断する指標となってしまうことには同意出来なかった。
髪の毛が無いくらいでそう思うなら、きっと上司は五体満足でない人間や何かしら欠如している人間に対してもそう思うのだろう。
私からすれば。
「あなたにかけているのは想像力です」
こういった時、言葉にならない言葉を、たくさんの花びらにして撒き散らす想像をする。
私の汚い感情と言葉も綺麗な物に変わってほしい。
毎日そう願っている。
題:花畑
9/17/2024, 6:00:27 PM