力加減は難しい。
我が家の犬は、もう一歳半になった。
人で言えばもう成人だ。
この一年はそれはそれは騒がしくて、
「カーペットを噛んでダメにした」とか
「ソファの肘掛け部分に齧り付いて削った」とか
「齧られた指から出血した」とか
「買ってきたおもちゃを3分で壊した」とか
まあまあ、なにかと、強靭なアゴにため息の漏れる日々だった。
寝ている姿は天使。
ボールを持ってくる姿は天真爛漫。
子犬だから仕方ない、そう信じたい日々。
あれこれ手は尽くしたが、あんまり効果を感じられずにいた。
一歳の誕生日にも、ひとつカーペットを使用不能にした。
落ち着くとは無縁な子なのか、と愕然としていた。
昨日の成人式の様子を、ニュースで見ながら、犬のお腹を撫でていた。
犬のお下がりの振袖がある。お洋服嫌いで噛みついてくる犬なので、小物の多い振袖はとてもじゃないが着せられない。
「着られないねえ」とお腹を撫でていて、気づく。
家に来たばかりの日には、黙ってお腹を撫でられることはなかった。
そういえば、口元に手を置いても噛まなくなった。
そういえば、体のどこを撫でても暴れなくなった。
いつか、この子にも「そっと」の力加減がわかる日が来る。
その日を楽しみにしている、という話。
1/14/2025, 4:28:44 PM