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『イルミネーション』

「クリスマス、ひま?」
何もないような顔をして、だけど頬を染めて尋ねるあなたに、少し驚きながら頷いて返した。
あなたがわかりやすく安堵の表情を見せる。
「一緒にイルミネーション見に行かない?」
「行きたい!」
自分が持っている一番かわいい服をコーディネートしながら返事をした。

「ごめん待った?」
いつもより少し大人っぽくきめたあなたに緊張するのを感じながら声をかけた。
長い睫毛が瞬いて、光を湛えた瞳が私を捉える。
「待ってないよ。今来たとこ」
「よく聞くやつじゃん」
「そっちこそ」
軽口を叩いていつもの調子に戻そうとしたって、一度感じてしまった気持ちはもう元には戻らない。
突然に舞い降りた沈黙がやけに気まずくて、どこ行くの?なんて場違いな明るい声を出した。
「あっちだって」
スマホを鞄にしまって歩き出すあなたの隣に並ぶ。
手と手はまだ、触れあわない。
白く凍った息が静かに解けるのを眺めていたら、あなたがわかりやすく緊張を孕んだ言葉を寄越した。
「服、かわいいじゃん。似合ってる」
「……ありがとう。あんたも似合ってるよ」
心の中で大喜びする自分は必死に抑えて、紅くなった顔を隠したままあなたに言葉を返した。
今が夜でよかった、なんてひとつ息を吐く。
愉快な音楽と軽やかに音を鳴らすブーツに任せて足を進めると、あなたがここだよ、と足を止めた。
「……すご。綺麗」
目の前にそびえ立つクリスマスツリーは光に囲まれて、まわりの物も全てが明るい。
幻想的とか、夢幻的とか、そんな言葉が似合いそうな雰囲気だった。
「おまえと見たかったんだ」
そんな言葉に、少し高いところにあるあなたを見つめる。
イルミネーションに照らされて、頬が柔く光を帯びているあなたに胸が高鳴った衝動のまま、その手を握った。

かわいいクリスマスですね。
私はウニの研究をするらしいです。どうせ過ごす人もいないんで全然問題ないんですけどね😭

12/14/2024, 10:02:47 AM