たーくん。

Open App

各テーブル席で、キャッキャウフフと若者達が賑わっている喫茶店。
だが、俺達の席は真逆で、お互い何も喋らず暗い。
向かいの席には彼女が座っていて、ずっと沈黙を貫いている。
この状態は二時間ぐらい続いているだろうか。
せっかく頼んだメロンソーダの炭酸は元気がなくなり、ただのメロンジュースになってしまった。
……まぁ、全部俺が悪いんだけど。
彼女以外の女と遊んでいることがバレて、彼女は大変ご立腹されている。
彼女と目を合わせようとするが、逸らされてしまう。
うーむ……どうしたものか……。
ただ、時間だけが過ぎていく。

……あれから一時間後。
彼女は相変わらず口を開かない。
このままではさすがに気が重いので、きちんと謝っておこう。
恐る恐る口を開く。
「ごめん。俺が悪かったよ」
だが、彼女は無反応。
「他の女とはもう遊ばない。君だけを愛するから」
「……あのね」
ようやく、彼女はゆっくりと口を開いた。
「私、好きな人がいて、同棲もしてるの。だから、その……ごめんね」
「あー……そういうパターンね……」
一気に喉がカラカラになり、目の前にあるメロンソーダを飲む。
ぬるくて、薄いメロンの味しかしなかった。

8/3/2025, 10:22:27 PM