お題 夢見る心
夢見る心
亡くなった母の遺品整理をしていると、何冊もノートが出てきた。それらを製造している会社は母がかつて就職を夢見た会社だ。就職したいと言うことを聞いた両親によってお見合いをさせられた。母は諦めきれず、ちょっとしたものをその会社のもので足していたのは私だけが知ってる。
「母さん、なんでいつもこれなの?」
幾度聞いても、母はにっこり笑ったまま人差し指を口に当てたまま黙って買ったものをしまう。
「なんでこんなにたくさんノートばかり買ってるの? 遺品整理のこととか、考えなかったのかしら。」
すると、ユキコ姉さんが話し始めた。
「母さんはノートを買うだけじゃなかったわ。ノートに幾度も弱音を吐いてたわ。ゆみ子にいつも文房具のことを聞かれるけど答えてあげられない、父さんがノートのことを怪しんでいるとか。だから、かつて夢見た会社を密かに応援する形でノートを買い込んでたのよ。夢見る心は永遠にって題名の日記ノートをね。」
4/16/2024, 10:57:24 AM